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はじめに


いらっしゃいませ。 こんにちは。 aki と申します。
ココ「Q夢想」にお越しいただき、ありがとうございます。
以下、傾向とお知らせを兼ねての、簡単なご案内です。
   


 ( 夢小説 )

   『 在りし日の…  追慕 』(parallel 3 piece) up

  名前変換なしの商人サイドでの話。金髪紅眼が相手
  子供から少女、大人へと歳を重ね、キュウゾウとヒョーゴに見守られながら成長
  ほのかにヒョーキュウ風味。故に、微妙に三角関係

  ↑↓の両方に関連するパラレル話は黒髪黒眼が相手


 ( ヒョーゴ×キュウゾウ パラレル )

   『 その後のストーリー 』(Strayers) 更新中

  『 Lovers 』 晴れてコイビト同士となった大学生の2人。アマアマ
  『 Strayers 』 デキアガルまでの紆余曲折な高校生の2人。ジリジリ
  どちらの話にも随時カンシチ、ボ→ヒョが含まれています。ヤキモキ



詳細は「しながき」をご覧下さい。
進行中の話のみ逆表示となります。
個別にご覧の際には「SEARCH」または「全ての記事」からお選び下さい。

版権元、出版社との関係はございません。
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中傷、苦情、荒らし等はお受けできません。
( sky_q54069★yahoo.co.jp @>★ )

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その後のストーリー 26




 オレの云ったコトと、コイツの云ったコト
 どちらがより大きなモノだったのかなんて
 そんなこと、きっと比べるまでもないコト


 ヒトのこころを解かすチカラが、キュウゾウにはある




26



「 ヘンなんだ 」


込み上げる言葉を告がせぬうちに、キュウゾウは継げる。

「 ヒョーゴが、居ないだけで。 オレはヘンになる 」

ひとつ、ひとつ。 言葉を声を、ヒョーゴは摘みあげる。

「 ヒョーゴが見えないと、肩が薄らぐ。声がしないと、 ………胸が、痛い 」

スッと現われた冷気と痛苦、それは2人の間を擦り抜けた。過ぎた独りのトキを。


「 解ったような気がしたんだ、アノ場所で。ヒョーゴのコトを考えていたら。
  だけど、ヒョーゴが、来て………………。
  そうしたらもっと解ってきたコトがある。表情とか言葉とか、その眼や声、
  …………オレに触れる手が、すごく……。
  解ったと思ったんだ、答えだって知った、ヒョーゴが、いる。だからオレは… 」


大きく赤褐色を見開けて、キュウゾウは募った。
眼の前のヒョーゴの、顔。やたら真剣で、怖いくらいに。
見ていると安心する以上にドキドキして。なのに哀しくなりそうにもなって。

「 なんか、……いまもヘンだ。 ヒョーゴが、居るのに、  」

ちょっと、近づいて。キュウゾウはヒョーゴに、

「 オレ、………オカシイのか……? 」

ヒョーゴに問う。
さっきから話すたび、こうだ。
いろんな感情に呑み込まれて。そのうち訳が解らなくなる。

だから、

「 ヒョーゴのことばかりだ、見えるのも聴こえるのも、………みんな。
  何処に居ても居なくても、いつもオレに、…………オレに、お前は、 」

だからキュウゾウは、


「 だから、もういちど……。
  解るような気がするんだ。ヒョーゴに、触れたら、きっと、もっと、
  ……… だから………… 」


手を伸ばす。


「 ヒョーゴ 」




頬に触れる指、それと重なる手のひら。
重なって、絡め取られて、つつまれる。 ヒョーゴに触れたキュウゾウの手が。

怖いくらいの真摯な表情、けれど黒が瞳のなか揺れていた。
つぎ、どんなふうにそれは変わるのだろう。変わらないでいるのだろう。
いくつも見た。なんども眺めた。いつも同じで。ちょっとずつ違っていて。
あの夜のように苦しそうに微笑うのだろうか。
あの雨の日のように馬鹿と呆れるのだろうか。    それとも。

あの空の下で見た、……………あんなふうに。    笑うだろうか。


黒が、近づく。
見えない波動に目蓋は抗えない。そっと伏せようとする小さな視界に、

ヒョーゴのー。



  「 オレは。お前のなかで、どんな顔をしていたんだ? 」


    ヒョーゴの、………声



ふたたび得た光景。いくつもなんども廻る、そのひとつの光景。
見えたのは実物か。こころで描いたものか。
完全に眼を閉じ切る前にヒョーゴに伝えた。

吐息と触れあうキュウゾウの囁き。それは、小さくて。



「 そんな…顔、だ 」



重なる唇で溶けた。





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その後のストーリー 25


25



「 懐かしい、…って。えらく曖昧なことを云うんだな。イツモ、なんだろ? 」

ついさっきまで、秘めゴトが。隠れての独りよがりの虚しい行為が。
露見した発覚した実はバレていたのかと驚き焦り慌てていたくせに。
なのにヒョーゴは、いまー。

こころが甘く満ちていた

今なら、すべてを打ち明けることも。どれほど、お前に愛しく触れていたかさえも。
みんな伝えられそうなキモチになる。みんな伝えてしまいたいとさえ思えてしまう。
お前のなかに残る、その淡い感覚は。その感触を残したのは。紛れもなく、このー


「 仕方がない。イツモはイツモだ。 ……………ヒョーゴも、おなじだろ? 」

「 …… なにが 」

「 懐かしい、…って。  それで… 」


疑いを知らぬ眼差しで。
どこまでも自分と相手は同位であると。
この期待…のような呼びかけに応じるコトさえもしてみたいと思えてしまうのだから。

 こころの甘さは底がない

思わず… ああ、そうだな …と。応えてしまいそうになる。応えてやりたい、なんて。
まるでタチの悪い冗談のよう。勿論そんなコト、ヒョーゴはしない。一分の嘘も無く。


「 ソレに関しては、オレは同意しかねるのだが……… 」

「 そうなのか? 」


懐かしくは在る。どれほどの数を迎えたとしても。 追い求めた想いが遠かった。
曖昧とも言える。どんなに触れた感触が確かでも。 眠る身体の熱が切なかった。
それでもだけど。


「 ヒョーゴは、ちがうのか? 」


あれほどまでに。
狂いそうなほど。


「 オレだけか? 」


離れても忘れようのない唯ひとつの鮮烈。不確かさや懐かしみなど遠く及ばぬくらい。
たとえば薄れ、失いそうになったならば。いや、そうなってしまう前にきっと自分は。

また…



「 だから、もういちど……  したい  ……って 」



      また……



「 そう思っているのは、 ……ヒョーゴ。  オレだけか? 」






    遠い光に焦がれるだけのオレが、凍える暗闇のなか。
    いまのオレを見ている。
    どうしてそんな場所に佇んでいるのか、知っていた。
    なのに不思議に思えて。ついでに憤りまでも覚えて。
    そっと掛けてやりたくなるのは、どんな言葉だろう。

     驚いている
     名前を呼ばれただけなのに

    そんな、まだなにも知らないオレに。
    教え伝えようとする声。 それはー




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その後のストーリー 24





 まさか、   バレてる…………… のか?!



24


  『 いつも 』と キュウゾウは言った。
  もう3回目ともなるとイツモになるのだろうか。
  なら1回目のトキの感慨を訊けば良かったのか。
  その前に、キュウゾウにとってのイツモの定義を確かめるのが先かー。
  いやコイツは聴いたコトは聴いたままの男だ。言葉も辞書記載のまま。
  だとしたらソレはー


   何時も(いつも)————— 普段の状態 普段の通り 常 平生 どんな時でも


                 …………………… じゃないかっ!



聡明と称される頭でヒョーゴは結論づけた。
確かめる必要は無いと、こころが肯定した。
キュウゾウが平静なのは何の特異性も感じてないからなのだ。
キュウゾウにとってコノ行為は何ら特別ではないからなのだ。

「 ひとつ訊く 」

固唾を呑む。

「 ……………気付いて、………いたのか? お前は 」

もういちど呑み込んで、返答を待つ。

「 なにをだ? 」
「 …………… 」

もはや呑み込むモノすら無いほどに、喉が枯渇してゆくのをヒョーゴは感じた。



  知っていて、知らぬフリをしていたのか。  それはない
  知っていながらもスキにさせていたのか。  まさかだろ
  知られていないというのなら、いったい。  いつどこで
  知らないくせにテキトウなコトをもしや。  ならばまだ、



ここでハズしてはいけない。してはならない。
最も適した台詞を、表現を。一分の嘘もなく。
いまだ残る感触を乗せたままヒョーゴが唇を開こうとした、 そのときー。



 「 オレの全部に、ヒョーゴは触れる 」


            キュウゾウが


 「 だから、 イツモの、 コトだ 」


            ヌケヌケと



  やはり………

           全部すべてには触れてない

                          …………バレて、る………?



真偽を、質そうとはしなかった。
代わってヒョーゴが問うたのは。

「 お前は、それで良いのか 」

全部にイツモ、触れられるコトが。
その、相手の行為を、許すコトが。



「 ヒョーゴなら、構わない。 ………それに 」


的然とした容認、そのあとに見せたキュウゾウの、


「 なんだか、懐かしい……感じがするんだ。ソレがなんなのか、オレには解らない。
  よく知っているハズなのに思いだせない、そんな……感じ…、みたいなような… 」


気迷い気味の声、紡ぎながら見せるキュウゾウの、



その姿はしおらしく、ヒョーゴには想えた。
夜のとばりに、ひとり求めていた秘めゴト。
ソレは確実に。
キュウゾウのなかで、ふかく息づいていた。



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その後のストーリー 23




  『 本当は、とても簡単なことなんです。
    答えはヒョーゴだけが持っているわけじゃありません。アナタの中にも… 』



23


 『 ヒョーゴが、いる 』

シンプルなキュウゾウの言は、ヒョーゴに一時(ひととき)の憩いを与えた。
ほんの少し前の自身の言葉が。

 『 けど………、そんなコトをしていたって、結局は
   キュウゾウ。…お前、だったんだ。オレの真実は 』

それがカタチを変え木霊したー。



いくら、こころを籠め言葉を尽くそうとも、想いの丈すべてには代えられない。
自身のなかに在るモノだからだ。いっそ胸を裂いて見せるコトでも出来たなら。
そんなジレンマを潜ませ伝えた想いが、最も理解されにくいとしていた相手にー
「ピンと来る」
そんな感じで身に呑み込んでもらえた、こころで理解してもらえた、
キュウゾウの決然たる二言に、その合間の機微に、ヒョーゴもそう、ピンと来た。

そういうのは、相手も同じキモチに至ったトキに成るのだと思う。
だから、本望。そう、本懐を遂げたと喜ぶべきところなのだろう、きっと。



だがソコで終われない。

「 ……ああ、そうだな。……いや、だがな。
  お前の云いたいコトは解る、オレも…ッ 」

まだ手放しで喜べない。

「 だけどな、そうじゃないんだ、…………そうなんだが、
  つまりオレの云いたいコトはっ、いまオレは………っ 」

数種類の感情、その優先順位。

「 オレの……。お前にしたコトが解っているのか? 」



キュウゾウは、当たり前のように意識せずに受け入れた。
そのコト自体、なんの違和感も持たずに。

ヒョーゴのくちづけを。 その、感触を。

愛する者への自然な行為。止められない衝動。
そんなふうに受けとめられる相手なら。解ってくれる相手なら。
こんな気苦労など要らない。そんなヤツとは思えない。

ヒョーゴにとっては大問題だ。



「 なんでそんなふうにしていられるんだ、
  もっと驚いたり不思議に思ったり、…………なにか思うコトはないのか?!
  いくらお前でも……。 オレはっ。
  お前にキスってヤツをしたんだぞっっ 」


ズバリ言ってのけた行為の名称。ヒョーゴの思い切り。
キュウゾウ相手に回りくどいコトなんてしてられない。
照れや気恥ずかしさなんてこの際ヨソへと追いやった。


「 いつもの、コトだろう……? 」


                   (    ……………………    )


のぞいた赤褐色の、あどけなさ。 その、ひかり持つ普遍。
傾げた首の角度さえもが小気味。



ヒョーゴにとっては、大問題だった。



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その後のストーリー 22




無防備にも眼を閉じて。
吐息の触れあいを交す。
すべてが、委ねられる。      すべてが、快楽で。 蕩かされる。


  だがこのどうにも腹にストンと落ちない、この……


この心の動きには覚えがある。
まるで夢から現実へと戻ってきたような。ふとナニカに捕らわれたみたいな引っ掛り。
舞い込んできた幸福の入口で、激しく上下する感情に振り回され、甘さに酔おうとも。
それでもまだー。


  まだオレの本心は納得してなかったってコトだ




22



「 お前、なんで、…………どうしてそんな……… 」

開いた赤褐色で、最初にキュウゾウが見たモノ。
ヒョーゴの、顔。
怒っているのか驚いているのか嘆いているのか、………………そうではないのか。
ともかく複雑な表情をしているヒョーゴだった。


「 どうした? 」

シレッと尋ねてみる。キュウゾウは、何事もなかったかのようにアッケラカンと。
そうしたら、ますますヒョーゴは怪訝な顔を向けてきて。

「 ヒョーゴ? 」

ヘンだとは思ったが、不安は感じない。いまの、キュウゾウは。
昨日までの自分とは、違う。眼と耳と皮膚、有る限りの部分で、あらゆる感覚を得た。
だからヘンなヒョーゴが居ても、昨日までのヒョーゴとも違う。何を言い出そうとも。



 「 平然と、………お前は。 どうしてなんだ 」



  ……………………たとえ何を言い出そうともー



  だけどやっぱりヒョーゴの言うコトは、よく解らない。
  でもまぁソレも、いつものコトなのだ。いつものヒョーゴだ。

  「 ヒョーゴが、いる 」

  スルッと出たのは、この言葉。解らないなりに答えてみる。

  眼を開けるとヒョーゴが居る。
  見慣れた硬そうな肩のライン。浮き出た鎖骨も。
  そこに掛かる細い黒の長い髪。毛先まで真っ直ぐで。
  痩け気味の頬。薄色づく眼鏡。レンズ越しに黒の眼差しが。

   ヒョーゴが、ココに  在るということ

  コレが何もかもの答えにー


  「 ……… あぁ、…… そぅ、か ……… 」


  閃いた。
  音を立ててランプが灯ったみたいに。

  そうだ、ソレなんだ、ソレだけのコトなんだ、


  昨日までの闇がウソのように消えている。光で満たされている。
  ただの箱みたいだったこの部屋のなかが、こんなにも。
  ヒョーゴが居るというだけでカンタンに、…………スゴイ、な。
  こんなコトに、オレはどうしていままで解らずにいたのだろう。



「 なにひとりで納得してるんだ。オレの云ったコトにちゃんと答えろ 」

傍ではヒョーゴが、複雑な顔を続けていた。
キュウゾウの呟きを聴いていた。視ていた。

まだ、キュウゾウは、確かめてはいない。
また、キュウゾウは、伝え切れずにいるかもしれない。

どちらか、ではなく。2人で見つけるモノなのだけれど。
それでも、きっとー。2人は同じなのだと確信したから。


「 ヒョーゴが、いる 」


だからもういちど。こんどは、微笑って。
ヒョーゴに、それだけを声にして伝える。

居ないと、寂しい。ヒョーゴが居ないと。

無くしたパズルのひと欠けが導いた感情、その先は、まだあった。
思いだして、考えて、最後にキュウゾウが辿り着いた処。真実が。



  この、いまある存在。
  ココロ満たす温かさ。
  重ねて紡ぐ必要なんてないほどに当たり前で。これ以上は無くて。


    『 アナタとヒョーゴ、ふたりだけの答えです 』


 「 答え 」は、ソレで。 そのままで良いのかもしれない。




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