Q夢想
侍7の9main
はじめに
いらっしゃいませ。 こんにちは。 aki と申します。
ココ「Q夢想」にお越しいただき、ありがとうございます。
以下、傾向とお知らせを兼ねての、簡単なご案内です。
( 夢小説 )
名前変換なしの商人サイドでの話
子供から少女、大人へと歳を重ね、キュウゾウとヒョーゴに見守られながら成長
ほのかにヒョーキュウ風味。故に、微妙に三角関係
現代パラレル設定でのヒョーゴ夢
今後すこしずつ増やしていく予定
『 確かな感触 』(with hyogo) UP
( ヒョーゴ×キュウゾウ パラレル )
『 Lovers 』 晴れてコイビト同士となった大学生の2人。アマアマ
『 Strayers 』 デキアガルまでの紆余曲折な高校生の2人。ジリジリ
どちらの話にも随時カンシチ、ボ→ヒョが含まれています。ヤキモキ
現在 『 想いの行方 』(Strayers) 更新中
詳細は「しながき」をご覧下さい。
進行中の話のみ逆表示となります。
個別にご覧の際には「SEARCH」または「全ての記事」からお選び下さい。
版権元、出版社との関係はございません。
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中傷、苦情、荒らし等はお受けできません。
( sky_q54069★yahoo.co.jp @>★ )
想いの行方 115
115
「さて。そろそろ退散すると致しましょうか。言いたいコトも云えましたしね」
カタリと席を立ち、シチロージは部屋を出てゆこうとする。
トキを戻すように、その傍にはカンベエが寄り添っていた。
ふたつの動の気配に。
その場に残されようとする者が、口を開こうとしたときー。
「あっ。それからね、ヒョーゴ」
つっと。思い出したようにシチロージは振りかえった。
軽快に、ヒョーゴを黙らせる。
「アナタ、キュウゾウをアタシに押しつけようって算段でしょうけど…。
ダメですよ。アタシはカンベエさまで手ェ一杯なんですからね。
いくらあのコがカワイイとは言えー」
口籠るオトコの隙を狙って、優(やさ)オトコは軽くウインクをした。
イタズラな微笑みを見せて。
( そう……。アタシでは、ダメなんです。ほかのダレであろうとも…… )
モノの手土産と、ハートの檄を残してー。
「すみません、カンベエさま。お忙しい時だというのに…」
エレベータの中で、シチロージは詫びた。 顔を合わせずに。
「何を申す。ワシが、おぬしのするコトに待ったを掛けたコトがあるか?」
横顔を転じて、質したオトコを顧みた。 視線が、交わった。
「……いいえ。ございませんね。それどころかアナタさまは……」
「 ん? 」
高い機械音を合図に扉が開く。
最初の一歩を踏み出したのは、シチロージ。
「 昔も今も………。 ズルいお人だ 」
云って。
クルリと振り向き。
おなじく扉の外へと向かおうとするカンベエを押し留めた。
「私達が隠そうとしていたモノを、あの子達は剥き出しにしている。
だから、つい、私も……………」
見上げるのは。目尻に皺を浮かべ、細めた眼で微笑うオトコ。
そのオトコが。
「ワシもだ。シチ…」
無骨な茶褐色の手で金の髪に触れた。やさしくシチロージを誘う。
………だからー。
両の腕を広げて、オトコの力強い肩に指を掛け、唇を寄せて……。
オト無き言葉を、語り合う。
愛と、哀と。想いを乗せて。
( ズルくて、やさしくて、ほんとうに……。 どうしようもないお人だ )
「さて。そろそろ退散すると致しましょうか。言いたいコトも云えましたしね」
カタリと席を立ち、シチロージは部屋を出てゆこうとする。
トキを戻すように、その傍にはカンベエが寄り添っていた。
ふたつの動の気配に。
その場に残されようとする者が、口を開こうとしたときー。
「あっ。それからね、ヒョーゴ」
つっと。思い出したようにシチロージは振りかえった。
軽快に、ヒョーゴを黙らせる。
「アナタ、キュウゾウをアタシに押しつけようって算段でしょうけど…。
ダメですよ。アタシはカンベエさまで手ェ一杯なんですからね。
いくらあのコがカワイイとは言えー」
口籠るオトコの隙を狙って、優(やさ)オトコは軽くウインクをした。
イタズラな微笑みを見せて。
( そう……。アタシでは、ダメなんです。ほかのダレであろうとも…… )
モノの手土産と、ハートの檄を残してー。
「すみません、カンベエさま。お忙しい時だというのに…」
エレベータの中で、シチロージは詫びた。 顔を合わせずに。
「何を申す。ワシが、おぬしのするコトに待ったを掛けたコトがあるか?」
横顔を転じて、質したオトコを顧みた。 視線が、交わった。
「……いいえ。ございませんね。それどころかアナタさまは……」
「 ん? 」
高い機械音を合図に扉が開く。
最初の一歩を踏み出したのは、シチロージ。
「 昔も今も………。 ズルいお人だ 」
云って。
クルリと振り向き。
おなじく扉の外へと向かおうとするカンベエを押し留めた。
「私達が隠そうとしていたモノを、あの子達は剥き出しにしている。
だから、つい、私も……………」
見上げるのは。目尻に皺を浮かべ、細めた眼で微笑うオトコ。
そのオトコが。
「ワシもだ。シチ…」
無骨な茶褐色の手で金の髪に触れた。やさしくシチロージを誘う。
………だからー。
両の腕を広げて、オトコの力強い肩に指を掛け、唇を寄せて……。
オト無き言葉を、語り合う。
愛と、哀と。想いを乗せて。
( ズルくて、やさしくて、ほんとうに……。 どうしようもないお人だ )
想いの行方 114
『 ソノテハダレノモノデスカ? 』
114
理解不能な言語が聴こえてきたような。
そんな間の抜けた表情で目の前の者を。 ヒョーゴは見る。
それでも頭のなかでは受け入れていた。 コトバが、廻る。
ダレの……、だと?
そんなもの、決まっている
「 キュウゾウ……なんですよね 」
ヒョーゴのココロが頷いた。
「 あのコのために。あのコに向けて。……いつも 」
そうだ。アイツ、に……
アイツのためだけの……
いつのまにか解かれていた両腕が、胸の前で両の手を浮かべていた。
サラリと黒の毛先が流れる。
無言のまま、ヒョーゴは頭を落とした。
ひらいた、てのひら
ジッと。その手を見つめた。
もしも… 取り残されるようなコトがあれば
かりに… 害を為そうとするモノが起これば
或いは… その身が病みに削られようトキは
例えば… その、こころが。 闇に紛れようとするならば………
この、ココロが。たとえばもしもー…………
呪文のように、唱えた静なる声。
籠めるように、重なろうとして。
ヒョーゴの右手が、左の手に触れようとー
「 でもね、それはアナタのものでもあるんですよ 」
……………………!!
やさしき者の、声。
そっと掴んだ温もりが、握った手が。
ヒョーゴを灼いた。
想いの行方 113
113
吐いた息と連動して、肩が下がる。 そして。
「 手を、ね。………振り払われたんです 」
おなじく下がった声のトーン。
その、オトに。
ピクリとヒョーゴは反応した。やや吊り上げられた片方の眉。
「あの日。アナタのコトを知ったキュウゾウを、無理に引き留めようとした時です。
ツライですよね、あのコに拒まれるのは。とても痛かったです。
アナタの恐れているモノを、アタシも身を以て感じさせられました」
感触までもが甦ったような気がして、シチロージは両の手を重ねた。
「でもね、アナタは恐れているだけではいけないんじゃないですか?
それを乗り越えなくては。キュウゾウもアナタもー。
拒むってコトは、別の何かを必要としているコトでもあるのですから。
…………だから。コレだけは云わせてもらいますよ」
先刻吐き出した息を、すぅっと取り戻す。 そうしてー。
「 なんなんですかっ! いまのアナタのそのザマはっ。
好きな相手を大切にし過ぎて手が出せない、
そんなバカなオトコそのまんまじゃないですかっ!
ボヤボヤしていたら、手さへも届かないトコロに行っちまいますよ!!」
さらに。
「 もっともらしいコトを言って、逃げているだけでしょう?!
相手のコトを想うフリをして、誤魔化しているだけでしょう?!
ただたんに、自分を守っているだけなんじゃぁないんですかっ?!」
容赦なく。
「 しっかりなさいっ、ヒョーゴッ!!」
一気に捲し立て、荒げた呼吸を整えながらシチロージは。
もうひとりのオトコと眼が合った。
距離を伸ばした向こう側に、カンベエが居た。こちらを見ていた。
おなじ空間に在ったオトコたちはフタリとも、似たような顔をさせていた。
唖然と…呆然と…形容しがたい顔をしていた。
そうさせたのはー。
発すシチロージと。浴びるヒョーゴと。その先の、カンベエ。
懸け隔たるモノの長さで、含められるモノで、その中味はー。
やがて色は鎮まった。
いつもの、アイスブルー。 優しげな空気を纏い。
「 ヒョーゴ 」
まだ、ぼんやりとも。まとまりのない表情とも取れるヒョーゴに。
「 その手は、………だれのものですか? 」
シチロージは問う。
吐いた息と連動して、肩が下がる。 そして。
「 手を、ね。………振り払われたんです 」
おなじく下がった声のトーン。
その、オトに。
ピクリとヒョーゴは反応した。やや吊り上げられた片方の眉。
「あの日。アナタのコトを知ったキュウゾウを、無理に引き留めようとした時です。
ツライですよね、あのコに拒まれるのは。とても痛かったです。
アナタの恐れているモノを、アタシも身を以て感じさせられました」
感触までもが甦ったような気がして、シチロージは両の手を重ねた。
「でもね、アナタは恐れているだけではいけないんじゃないですか?
それを乗り越えなくては。キュウゾウもアナタもー。
拒むってコトは、別の何かを必要としているコトでもあるのですから。
…………だから。コレだけは云わせてもらいますよ」
先刻吐き出した息を、すぅっと取り戻す。 そうしてー。
「 なんなんですかっ! いまのアナタのそのザマはっ。
好きな相手を大切にし過ぎて手が出せない、
そんなバカなオトコそのまんまじゃないですかっ!
ボヤボヤしていたら、手さへも届かないトコロに行っちまいますよ!!」
さらに。
「 もっともらしいコトを言って、逃げているだけでしょう?!
相手のコトを想うフリをして、誤魔化しているだけでしょう?!
ただたんに、自分を守っているだけなんじゃぁないんですかっ?!」
容赦なく。
「 しっかりなさいっ、ヒョーゴッ!!」
一気に捲し立て、荒げた呼吸を整えながらシチロージは。
もうひとりのオトコと眼が合った。
距離を伸ばした向こう側に、カンベエが居た。こちらを見ていた。
おなじ空間に在ったオトコたちはフタリとも、似たような顔をさせていた。
唖然と…呆然と…形容しがたい顔をしていた。
そうさせたのはー。
発すシチロージと。浴びるヒョーゴと。その先の、カンベエ。
懸け隔たるモノの長さで、含められるモノで、その中味はー。
やがて色は鎮まった。
いつもの、アイスブルー。 優しげな空気を纏い。
「 ヒョーゴ 」
まだ、ぼんやりとも。まとまりのない表情とも取れるヒョーゴに。
「 その手は、………だれのものですか? 」
シチロージは問う。
想いの行方 112
絶望のなかに光明を
安寧のなかに失意を ヒョーゴは、感じた
『 キュウゾウ 』と その名を、耳にして
くりかえし紡がれる そのオトが、響いて
112
「ねぇヒョーゴ。留学なんてしたいワケじゃないんですよね。
ましてやキュウゾウと離れたくなんか、ホントはしたいワケじゃないんですよね」
目の前の相手の有り様には構わず、シチロージは話しだした。
「アタシはアナタが居なくなったりしたら、イヤですよ。寂しいじゃないですか。
実際どうするかは、アナタ自身が決めるコトです。
でも自分のキモチを伝えるのは、自由でしょう?
キモチを打つけて、そのあとがドウなるかなんて、そんなコトは関係ありません。
まずは伝えてしまわないと……。まだアナタには、為すべきコトがあるハズです」
すべての言葉が、ヒョーゴの許に届くまでのトキを待ち。
項垂れ固まったままの視線の行方をシチロージは見守る。
重みに逆らうように、徐々に……。持ち上げられてゆく。
「 ………オレは、アイツに何もしてやれない 」
黒の瞳は、金色と。アイスブルーを映している。
けれど深い、闇色。ためらうイロを張りつかせ。
「 気の利いたコトも云ってやれない。
ただの、小煩い保護者でしかない。それも身勝手な。
このままオレが、ヤツの傍に居て、それでどうなる。縛りつけてしまうだけだ。
それだけで済めばイイんだがな… 」
もはや見慣れた、自嘲の笑み。
それさえもシチロージにはー。
「キュウゾウはヒョーゴに何かをしてもらいたいとか、言って欲しいとか、
そんな在り来たりなモノ、望んでやいませんよ。アタシが云うまでもないコトです。
そりゃぁ優しくされたら嬉しいでしょうし、世話を焼いてもらえれば便利でしょう。
けどね、キュウゾウは……っ」
ヒョーゴと居るときの、感情 おだやかな、こころならずな
ヒョーゴにだけ見せる、表情 あどけない、ゆめみるような
「ほんとうに……アナタたちは。見えているようで何も解っちゃぁいない」
深く長い溜め息を、シチロージは吐いた。
想いの行方 111
111
「あのコを、あんなふうに過ごさせたのは、………アナタでしょう?」
どんな重大発表がなされるのかと、強く身構えていたヒョーゴだった。
そんな硬さを解そうとするような、疑問形の語尾。
「あんなふう」が、どんなモノなのかは知らない。
だが想像はできた。今日という一日で、知り得た。
それを前提として問うてくるシチロージの意図を、ヒョーゴは探り読もうとする。
こころの動きが、微かな首の傾げとなって表れる。
今と。 これまでと変わらぬキュウゾウを。 確かにオレは、望んだ
「アナタが何を、どうあのコに伝えたのかまではアタシは知りません。
訊くつもりもありません。けれど、その重さは感じました。あのコを見ていてね。
毎朝、店で朝食を食べて、学校へも行って、家にも帰って。その繰りかえしです。
アナタは居ないのに、それを律儀に守って。ホント健気なものじゃありませんか。
そうさせていたのは、アナタなのでしょう?」
「 それが……。どうだと言うんだ 」
けれど。 オレの望んだ不変のカタチは……
「良くも悪くも、アナタの影響が大きすぎるっていうコトです」
「 ………………アイツに何があった 」
そして。 オレが伝えた最後のコトバは……
「気付いていましたよ」
端的に、シチロージは告げた。
はやい、抑揚の乏しい口調で。
そうしてゆっくり…。続けた。
「きょう、アナタが。………店に来たコトを」
「 なッ…! 」
落ち着いたフリをして。深く腰掛けていたイスからヒョーゴの上半身が前のめる。
相手の声を拾い、感情と思考を表す眼と表情さえ届けば良いと。
そうして造ったハズのシチロージとの空間が、狭まりをみせた。
僅かに縮んだ、その距離が。驚愕のバロメーターを示している。
「アレは誰かから聞いたとか、どこかで見たとか、そんなものではありませんでした。
そう……、店に戻ってきて、そこで初めて気付いたような。そんな、感じでしたね。
ヒョーゴ、アナタいったい…何を残していったんですか?」
「 オレは何も…… 」
応えながら、反芻していた。
数時間前の、自分の行動を。
自分のなかに在ったキュウゾウを……………
ーッ!
思い耽りに伏せられていた黒瞳の開きを、シチロージは見逃さなかった。
声なく震えた、かすかな唇の動きさえも。
「どうやら、思い当たりが有ったようですね」
「 ……ああ。だが、まさかそんな…… 」
「アナタが見過ごすほどのモノです、アタシに解らなかったのは当然のコトですね。
でも、あのコは違った。ちゃんと、ソレに気付いた。そしてアナタを見つけて…。
可哀想に、見ちゃぁいられなかったですよ」
ヒョーゴの手が、口許を隠す。
思わず零れそうになった声を、塞ごうとするように。
視線は、手前のガラステーブルの上に注がれている。
だが何も映してはいなかった。
「急にヒトリにされて、あのコなりに必死だったと思います。無自覚でしょうけど。
それを、また……… ヒョーゴ、アナタが惑わしてしまったんですよ。
それがどんなにツライことかなんて…。それが解らないアナタではないでしょう」
それは、責めや追及。そんなものではなく。
「あのコの笑った顔が見られないのは、アタシも辛いです」
ひどく労りある声で。言葉で。
「キュウゾウはね、ヒョーゴ…」
名でー。
「 アナタを待っていたんですよ」
「あのコを、あんなふうに過ごさせたのは、………アナタでしょう?」
どんな重大発表がなされるのかと、強く身構えていたヒョーゴだった。
そんな硬さを解そうとするような、疑問形の語尾。
「あんなふう」が、どんなモノなのかは知らない。
だが想像はできた。今日という一日で、知り得た。
それを前提として問うてくるシチロージの意図を、ヒョーゴは探り読もうとする。
こころの動きが、微かな首の傾げとなって表れる。
今と。 これまでと変わらぬキュウゾウを。 確かにオレは、望んだ
「アナタが何を、どうあのコに伝えたのかまではアタシは知りません。
訊くつもりもありません。けれど、その重さは感じました。あのコを見ていてね。
毎朝、店で朝食を食べて、学校へも行って、家にも帰って。その繰りかえしです。
アナタは居ないのに、それを律儀に守って。ホント健気なものじゃありませんか。
そうさせていたのは、アナタなのでしょう?」
「 それが……。どうだと言うんだ 」
けれど。 オレの望んだ不変のカタチは……
「良くも悪くも、アナタの影響が大きすぎるっていうコトです」
「 ………………アイツに何があった 」
そして。 オレが伝えた最後のコトバは……
「気付いていましたよ」
端的に、シチロージは告げた。
はやい、抑揚の乏しい口調で。
そうしてゆっくり…。続けた。
「きょう、アナタが。………店に来たコトを」
「 なッ…! 」
落ち着いたフリをして。深く腰掛けていたイスからヒョーゴの上半身が前のめる。
相手の声を拾い、感情と思考を表す眼と表情さえ届けば良いと。
そうして造ったハズのシチロージとの空間が、狭まりをみせた。
僅かに縮んだ、その距離が。驚愕のバロメーターを示している。
「アレは誰かから聞いたとか、どこかで見たとか、そんなものではありませんでした。
そう……、店に戻ってきて、そこで初めて気付いたような。そんな、感じでしたね。
ヒョーゴ、アナタいったい…何を残していったんですか?」
「 オレは何も…… 」
応えながら、反芻していた。
数時間前の、自分の行動を。
自分のなかに在ったキュウゾウを……………
ーッ!
思い耽りに伏せられていた黒瞳の開きを、シチロージは見逃さなかった。
声なく震えた、かすかな唇の動きさえも。
「どうやら、思い当たりが有ったようですね」
「 ……ああ。だが、まさかそんな…… 」
「アナタが見過ごすほどのモノです、アタシに解らなかったのは当然のコトですね。
でも、あのコは違った。ちゃんと、ソレに気付いた。そしてアナタを見つけて…。
可哀想に、見ちゃぁいられなかったですよ」
ヒョーゴの手が、口許を隠す。
思わず零れそうになった声を、塞ごうとするように。
視線は、手前のガラステーブルの上に注がれている。
だが何も映してはいなかった。
「急にヒトリにされて、あのコなりに必死だったと思います。無自覚でしょうけど。
それを、また……… ヒョーゴ、アナタが惑わしてしまったんですよ。
それがどんなにツライことかなんて…。それが解らないアナタではないでしょう」
それは、責めや追及。そんなものではなく。
「あのコの笑った顔が見られないのは、アタシも辛いです」
ひどく労りある声で。言葉で。
「キュウゾウはね、ヒョーゴ…」
名でー。
「 アナタを待っていたんですよ」

進行中の話のみ逆表示


