Q

はじめに


いらっしゃいませ。 こんにちは。 aki と申します。
ココ「Q夢想」にお越しいただき、ありがとうございます。
以下、傾向とお知らせを兼ねての、簡単なご案内です。



 ( 夢小説 )

  名前変換なしの商人サイドでの話
  子供から少女、大人へと歳を重ね、キュウゾウとヒョーゴに見守られながら成長
  ほのかにヒョーキュウ風味。故に、微妙に三角関係

  現代パラレル設定でのヒョーゴ夢
  今後すこしずつ増やしていく予定

   『 確かな感触 』(with hyogo) UP


 ( ヒョーゴ×キュウゾウ パラレル )

  『 Lovers 』 晴れてコイビト同士となった大学生の2人。アマアマ
  『 Strayers 』 デキアガルまでの紆余曲折な高校生の2人。ジリジリ
  どちらの話にも随時カンシチ、ボ→ヒョが含まれています。ヤキモキ

   現在 『 想いの行方 』(Strayers) 更新中



詳細は「しながき」をご覧下さい。
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想いの行方 115

115


「さて。そろそろ退散すると致しましょうか。言いたいコトも云えましたしね」

カタリと席を立ち、シチロージは部屋を出てゆこうとする。
トキを戻すように、その傍にはカンベエが寄り添っていた。

ふたつの動の気配に。
その場に残されようとする者が、口を開こうとしたときー。

「あっ。それからね、ヒョーゴ」

つっと。思い出したようにシチロージは振りかえった。
軽快に、ヒョーゴを黙らせる。

「アナタ、キュウゾウをアタシに押しつけようって算段でしょうけど…。
 ダメですよ。アタシはカンベエさまで手ェ一杯なんですからね。
 いくらあのコがカワイイとは言えー」

口籠るオトコの隙を狙って、優(やさ)オトコは軽くウインクをした。
イタズラな微笑みを見せて。

( そう……。アタシでは、ダメなんです。ほかのダレであろうとも…… )

モノの手土産と、ハートの檄を残してー。






「すみません、カンベエさま。お忙しい時だというのに…」

エレベータの中で、シチロージは詫びた。 顔を合わせずに。

「何を申す。ワシが、おぬしのするコトに待ったを掛けたコトがあるか?」

横顔を転じて、質したオトコを顧みた。 視線が、交わった。

「……いいえ。ございませんね。それどころかアナタさまは……」
「 ん? 」

高い機械音を合図に扉が開く。
最初の一歩を踏み出したのは、シチロージ。


「 昔も今も………。 ズルいお人だ 」


云って。
クルリと振り向き。
おなじく扉の外へと向かおうとするカンベエを押し留めた。

「私達が隠そうとしていたモノを、あの子達は剥き出しにしている。
 だから、つい、私も……………」

見上げるのは。目尻に皺を浮かべ、細めた眼で微笑うオトコ。
そのオトコが。

「ワシもだ。シチ…」

無骨な茶褐色の手で金の髪に触れた。やさしくシチロージを誘う。
………だからー。

両の腕を広げて、オトコの力強い肩に指を掛け、唇を寄せて……。

オト無き言葉を、語り合う。
愛と、哀と。想いを乗せて。


( ズルくて、やさしくて、ほんとうに……。 どうしようもないお人だ )



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想いの行方 114




  『 ソノテハダレノモノデスカ? 』



114


理解不能な言語が聴こえてきたような。
そんな間の抜けた表情で目の前の者を。 ヒョーゴは見る。

それでも頭のなかでは受け入れていた。 コトバが、廻る。


    ダレの……、だと?
    そんなもの、決まっている


「 キュウゾウ……なんですよね 」

ヒョーゴのココロが頷いた。

「 あのコのために。あのコに向けて。……いつも 」


    そうだ。アイツ、に……
    アイツのためだけの……


いつのまにか解かれていた両腕が、胸の前で両の手を浮かべていた。
サラリと黒の毛先が流れる。
無言のまま、ヒョーゴは頭を落とした。

 ひらいた、てのひら

ジッと。その手を見つめた。




    もしも… 取り残されるようなコトがあれば
    かりに… 害を為そうとするモノが起これば
    或いは… その身が病みに削られようトキは

    例えば… その、こころが。 闇に紛れようとするならば………


    この、ココロが。たとえばもしもー…………




呪文のように、唱えた静なる声。
籠めるように、重なろうとして。

ヒョーゴの右手が、左の手に触れようとー



「 でもね、それはアナタのものでもあるんですよ 」


    ……………………!!



やさしき者の、声。

そっと掴んだ温もりが、握った手が。
ヒョーゴを灼いた。



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想いの行方 113

113


吐いた息と連動して、肩が下がる。 そして。

「 手を、ね。………振り払われたんです 」

おなじく下がった声のトーン。
その、オトに。
ピクリとヒョーゴは反応した。やや吊り上げられた片方の眉。

「あの日。アナタのコトを知ったキュウゾウを、無理に引き留めようとした時です。
 ツライですよね、あのコに拒まれるのは。とても痛かったです。
 アナタの恐れているモノを、アタシも身を以て感じさせられました」

感触までもが甦ったような気がして、シチロージは両の手を重ねた。

「でもね、アナタは恐れているだけではいけないんじゃないですか?
 それを乗り越えなくては。キュウゾウもアナタもー。
 拒むってコトは、別の何かを必要としているコトでもあるのですから。
 …………だから。コレだけは云わせてもらいますよ」

先刻吐き出した息を、すぅっと取り戻す。 そうしてー。


「 なんなんですかっ! いまのアナタのそのザマはっ。
  好きな相手を大切にし過ぎて手が出せない、
  そんなバカなオトコそのまんまじゃないですかっ!
  ボヤボヤしていたら、手さへも届かないトコロに行っちまいますよ!!」

さらに。

「 もっともらしいコトを言って、逃げているだけでしょう?!
  相手のコトを想うフリをして、誤魔化しているだけでしょう?!
  ただたんに、自分を守っているだけなんじゃぁないんですかっ?!」

容赦なく。

「 しっかりなさいっ、ヒョーゴッ!!」




一気に捲し立て、荒げた呼吸を整えながらシチロージは。
もうひとりのオトコと眼が合った。
距離を伸ばした向こう側に、カンベエが居た。こちらを見ていた。
おなじ空間に在ったオトコたちはフタリとも、似たような顔をさせていた。
唖然と…呆然と…形容しがたい顔をしていた。
そうさせたのはー。

発すシチロージと。浴びるヒョーゴと。その先の、カンベエ。
懸け隔たるモノの長さで、含められるモノで、その中味はー。




やがて色は鎮まった。
いつもの、アイスブルー。 優しげな空気を纏い。

「 ヒョーゴ 」

まだ、ぼんやりとも。まとまりのない表情とも取れるヒョーゴに。


「 その手は、………だれのものですか? 」


シチロージは問う。


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想いの行方 112




   絶望のなかに光明を
   安寧のなかに失意を     ヒョーゴは、感じた


   『 キュウゾウ 』と      その名を、耳にして
   くりかえし紡がれる     そのオトが、響いて




112


「ねぇヒョーゴ。留学なんてしたいワケじゃないんですよね。
 ましてやキュウゾウと離れたくなんか、ホントはしたいワケじゃないんですよね」

目の前の相手の有り様には構わず、シチロージは話しだした。

「アタシはアナタが居なくなったりしたら、イヤですよ。寂しいじゃないですか。
 実際どうするかは、アナタ自身が決めるコトです。
 でも自分のキモチを伝えるのは、自由でしょう?
 キモチを打つけて、そのあとがドウなるかなんて、そんなコトは関係ありません。
 まずは伝えてしまわないと……。まだアナタには、為すべきコトがあるハズです」

すべての言葉が、ヒョーゴの許に届くまでのトキを待ち。
項垂れ固まったままの視線の行方をシチロージは見守る。
重みに逆らうように、徐々に……。持ち上げられてゆく。



「 ………オレは、アイツに何もしてやれない 」



黒の瞳は、金色と。アイスブルーを映している。
けれど深い、闇色。ためらうイロを張りつかせ。

「 気の利いたコトも云ってやれない。
  ただの、小煩い保護者でしかない。それも身勝手な。
  このままオレが、ヤツの傍に居て、それでどうなる。縛りつけてしまうだけだ。
  それだけで済めばイイんだがな… 」

もはや見慣れた、自嘲の笑み。
それさえもシチロージにはー。

「キュウゾウはヒョーゴに何かをしてもらいたいとか、言って欲しいとか、
 そんな在り来たりなモノ、望んでやいませんよ。アタシが云うまでもないコトです。
 そりゃぁ優しくされたら嬉しいでしょうし、世話を焼いてもらえれば便利でしょう。
 けどね、キュウゾウは……っ」



   ヒョーゴと居るときの、感情    おだやかな、こころならずな
   ヒョーゴにだけ見せる、表情    あどけない、ゆめみるような



「ほんとうに……アナタたちは。見えているようで何も解っちゃぁいない」

深く長い溜め息を、シチロージは吐いた。


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想いの行方 111

111



「あのコを、あんなふうに過ごさせたのは、………アナタでしょう?」

どんな重大発表がなされるのかと、強く身構えていたヒョーゴだった。
そんな硬さを解そうとするような、疑問形の語尾。
「あんなふう」が、どんなモノなのかは知らない。
だが想像はできた。今日という一日で、知り得た。
それを前提として問うてくるシチロージの意図を、ヒョーゴは探り読もうとする。
こころの動きが、微かな首の傾げとなって表れる。


   今と。 これまでと変わらぬキュウゾウを。 確かにオレは、望んだ


「アナタが何を、どうあのコに伝えたのかまではアタシは知りません。
 訊くつもりもありません。けれど、その重さは感じました。あのコを見ていてね。
 毎朝、店で朝食を食べて、学校へも行って、家にも帰って。その繰りかえしです。
 アナタは居ないのに、それを律儀に守って。ホント健気なものじゃありませんか。
 そうさせていたのは、アナタなのでしょう?」

「 それが……。どうだと言うんだ 」


   けれど。 オレの望んだ不変のカタチは……


「良くも悪くも、アナタの影響が大きすぎるっていうコトです」

「 ………………アイツに何があった 」


   そして。 オレが伝えた最後のコトバは……




「気付いていましたよ」

端的に、シチロージは告げた。
はやい、抑揚の乏しい口調で。

そうしてゆっくり…。続けた。


「きょう、アナタが。………店に来たコトを」

「 なッ…! 」


落ち着いたフリをして。深く腰掛けていたイスからヒョーゴの上半身が前のめる。
相手の声を拾い、感情と思考を表す眼と表情さえ届けば良いと。
そうして造ったハズのシチロージとの空間が、狭まりをみせた。
僅かに縮んだ、その距離が。驚愕のバロメーターを示している。


「アレは誰かから聞いたとか、どこかで見たとか、そんなものではありませんでした。
 そう……、店に戻ってきて、そこで初めて気付いたような。そんな、感じでしたね。
 ヒョーゴ、アナタいったい…何を残していったんですか?」

「 オレは何も…… 」


応えながら、反芻していた。
数時間前の、自分の行動を。
自分のなかに在ったキュウゾウを……………


  ーッ!




思い耽りに伏せられていた黒瞳の開きを、シチロージは見逃さなかった。
声なく震えた、かすかな唇の動きさえも。


「どうやら、思い当たりが有ったようですね」

「 ……ああ。だが、まさかそんな…… 」

「アナタが見過ごすほどのモノです、アタシに解らなかったのは当然のコトですね。
 でも、あのコは違った。ちゃんと、ソレに気付いた。そしてアナタを見つけて…。
 可哀想に、見ちゃぁいられなかったですよ」


ヒョーゴの手が、口許を隠す。
思わず零れそうになった声を、塞ごうとするように。
視線は、手前のガラステーブルの上に注がれている。
だが何も映してはいなかった。


「急にヒトリにされて、あのコなりに必死だったと思います。無自覚でしょうけど。
 それを、また……… ヒョーゴ、アナタが惑わしてしまったんですよ。
 それがどんなにツライことかなんて…。それが解らないアナタではないでしょう」

それは、責めや追及。そんなものではなく。

「あのコの笑った顔が見られないのは、アタシも辛いです」

ひどく労りある声で。言葉で。

「キュウゾウはね、ヒョーゴ…」

名でー。


「 アナタを待っていたんですよ」




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