Q

はじめに


いらっしゃいませ。こんにちは。 akiと申します。
お越し頂き、ありがとうございます。

ここ「Q夢想」では、名前変換なしの夢小説、
ヒョーゴ×キュウゾウパラレル等を書いていきます。
名の通り、大好きなキュウゾウメインです。ヒョーゴも好きです。

夢小説は、子供から少女、大人へと歳を重ね、
キュウゾウとヒョーゴに見守られて成長していく話です。
パラレルでは、2人の日常風景を細々と。 詳細は「しながき」にて。


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まめに更新しますので、お暇な時にでも覗いて頂けると嬉しいです。


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( sky_q54069★yahoo.co.jp )
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想いの行方 13




 唯一の存在を知り。 無二のココロを知ってから。
 眼は、追いかける。 脚を、止める。 そして振りむく。

 そばに居ないときには、求めて奔る。
 約束なんかしたことはない。
 そんなものがなくったって、オレはー。

  ギィ…

 耳につく金属音が、あがった呼吸を整えろと知らせる。
 たいした距離でもないというのに。
 いつも胸のなかは、カラダは、高まってゆく。



 呼ぼうとする声はいつだって。役に立たずに消える。
 わかっていたというような顔をして。うれしそうに。 

 アイツが笑うから。




13


変えたモノは、光と熱。 ……… やわらかさ
甦った情動は、愛くるしさと震え。 ……… いとおしさ
浮かんだ景色は、刻々と変化してゆく空の色。 ……… 逢魔が時


 キセキの、刻ー


鮮明となった視界の、いちばん近い場所で。
赤褐色が。 微笑う。






不思議なほどに、あっさりと。 昂る感情が消えた。
ヒョーゴの中で、跡形もなく。

さっきまでの時間と、いまのモノはー。
まったく違う、べつの空間のように…。 2人をとりまいている。


「 馬鹿が… 」

いつもの。 いつものヒョーゴの口癖。

「 風邪をひくだろうが 」

どんなときも。 どんなときでも気に掛け送られる眼差し。


掴んだ指を確かめるように眺めて、その手は放さず。
キュウゾウは、スッとヒョーゴの懐に入り込む。 …… 受け入れる。
相手に避けられるコトなど、絶対に有り得ない。 …… 避けるコトなど。
そんな暗黙の了解のように、至極当然な動きのように、交わされる仕草。
くすぐったさを与えてくる金色の髪が、ヒョーゴの首筋に触れる。

「 ヒョーゴ、髪が濡れているぞ 」

おぼえのある、自分のものでもあるシャンプーの香りに近づいて。
キュウゾウは、かすかに頭を揺らした。
細指と金糸が起こす以上の、もっと繊細な感触が。
まだすこしの湿りを残した、ヒョーゴの黒髪にー。

よりいっそう縮まった、微妙な距離。


「 お前のせいで湯冷めしそうだ 」

呆れたようにヒョーゴが声を掛けると、キュウゾウは見上げかえし、

「 オレも入る 」

いつもの、マイペースな澄ました顔を見せた。

「 湯は張ってないぞ 」
「 なら、シャワーでイイ 」

余韻を味わう情緒も与えようとせず、パッと掴んだ手を放すと、
スルリとキュウゾウのカラダは離れ、スタスタと先を歩いて行ってしまう。
目の前にある自分の家に背を向けて。ヒョーゴの家へとー。


…… それなら自分の家でもイイだろうが。
口には出さない指摘に頬をゆるめ、デッキチェアーへとヒョーゴは視線を戻した。
そこに置かれたままのキュウゾウのメットを取りに行ってから、追いかける。

「 おい、放ったままにしておくな。夜露がつくだろうが。
  それにシャワーで済まそうとするな。ちゃんと風呂に入って暖まれ。
  おい、聞いているのかっ、キュウ… 」

どこまでも細心なヒョーゴの小言の声に、振りかえる者。
街灯からの照らしなんて必要ないほどに、光って見えた。

そして、……… 魅せる。


 赤褐色の微笑


ヒョーゴの呼声は、つづくことなく消え。
胸の奥が高まって。
ココロが…染まる。


( オレを惑わし、…… 安心させる …… )



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想いの行方 12

12



「 …ずっと、ココに居たのか 」

ヒョーゴは、自分の声量が、どんなものになったかすら気づいてはいなかった。
キュウゾウとの距離が、こころが、量れていない。
目の前の色が、遠くで。焦点の合わない、近くで。 惑わし、揺れていた。

腕を伸ばせば、すぐに触れることのできる距離。
立ち止まってしまった自分のほうへ、キュウゾウから近づいてきた。
途切れ、霞ませ、呼ばれた。
確かめるように、いま、また…。

迷いに重くなっていた、こころを置き去りにして。 ヒョーゴのカラダは動きだす。
ためらいを、残して。 息を詰めて。
淡い白の頬に触れた。

ツッと、指先に鋭感。

「 …… 冷たいな 」

触れて得た感触が。冷やつき以外のモノが。 すでにヒョーゴを冒しはじめている。
ドクドクと波打ち、鼓動が暴れる。
声色は、眼差しは、低く静かなまま。
身の内に渦を生む、沸き立つ情炎が、ヒョーゴをー。


 「 …キュゥ…… 」










眼に映る表情は、変わっていない。
変わらないまま、オカシイ感じの。 もっとヘンなヒョーゴのままだ。

……… なにかを、…言った……?

よく聴こえなかったが、なにかを言ったのは確かだ。 …オレに。
もういちど、声を聴かせてくれないかと、耳を澄ませた。
さっきの呼声は、ちゃんとヒョーゴに届いているハズだ。
聴こえたハズだ。


声の代わりに、腕が伸ばされてきた。
ジンと、頬の皮膚が温む。
自分の体温が冷えていたコトを、ヒョーゴの手が教えてくれる。
距離が縮まったと。そう感じる、温かすぎるヒョーゴの指先。

「 …… 冷たいな 」

ちゃんと聴こえたヒョーゴの声は、響くものなく低い。  …… だれに、いっている?
ずっと向けてくるヒョーゴの眼は、恐いくらいに静かだ。 …… なにを、みている…?

さっきの呼声は、届いていなかったのかと不安になった。
たしかに感触は、ココに在るのに。
それ以外のモノが、なぜだか遠い…。


でも…。
それでもやっぱり。  ………… うれしくて。




 「 …キュゥ…… 」

待っていた、ヒョーゴの声。 届こうとする直前に。 待ちきれず、溢れ…。


ココロのままに、笑ってみせた。
目の前のヒョーゴが、やっぱり嬉しい。

頬にある手をとった。


 「 ヒョーゴ 」


  囁く。




うれしさが。
キュウゾウの、ちいさな呼び声すらも近くした。


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想いの行方 11

11



「 ヒョー……ゴ…?


庭に灯るガーデンライトと、天上の月明かりが。 仄かにヒョーゴを照らしている。

怒っているようでもない。
呆れているようでもない。
なんだかよく解らない表情を、ヒョーゴはしていた。

なんだかオカシイと、そう感じていたモノとは……ちがう。
似ているけれど……。アレと同じようにも見えるけれど…。


 どうしたんだ?
 なにを驚いているんだ? 理解できないモノを前にしているみたいに。
 なにを怒っているんだ? やっぱり呆れているのだろうか。
 身体の調子が悪いのか? 抑えた呼吸が辛そうだ。
 動揺…しているのか…? いったい何に…。


  なにを、……… みているんだ?


キュウゾウの、ヒョーゴに感じたモノは。そのまま自身にも向けられたモノで。
驚きと、疑問。揺動、困惑。
………硬く隔てられた距離。
声を掛けようとする自分の声が届かないような。そんなヒョーゴの遠い背中以上のー。


でも…。
それでもやっぱり…。




立ち上がってみせたら、ヒョーゴは脚を止め。名を呼ぼうとしてからは何も話さず。
いっさいの動きを停止させたように、その場から近づこうとはしてこない。
けれど構わず、キュウゾウのカラダは動きだす。

ウッドデッキを、蹴って。
左脚を踏みだし、重い空気を払った。
右脚を忍ばせて、距離を縮めた。
最後の左脚で…。


 「 ヒョーゴ 」


  呼ぶ。










なにかを起こそうと、なにかを打つけようと、そんなキモチなど無かった。
なにも考えずに走ってきた。
ただ、ひとめ。見ることさえできればと。
なのに…。

姿を覆う影を認めただけで、瞳の色のない視線を感じただけで、
抑えようのない強い感情が、ヒョーゴの中で競り上がってきた。

家に入ろうとしないで、ココで何をしていたのかなんて。
たずねる必要などない。意味の無い台詞だ。
本当に言いたいコトは。真実、聞かせたいコトはー。

それでも留まる理性はあった。 まだ…。
キュウゾウが身を起こすまでは。
キュウゾウの、音を聴くまでは。

馴染みのあるデッキチェアーという、付属物から切り離されたキュウゾウの細い陰影。
望んで受け止めたばかりの、自分を迎えてくれた視線とはアンバランスな霞んだ呼声。

その姿は薄影が、曖昧なカタチに見せている。
その声は心音が、届かぬオトとして聴かせる。

なにもかもが確かではなかったが。
そこに在るキュウゾウのココロは、視えるように知ることができた。


  なにが、……… みえる ……? オレの…、オレの中に……。




沸騰して弾けそうなほどに、カラダは熱かった。
ソコだけ凍りついたように、脚は地を離れない。
そんな狂気寸前の男の許に、近づいてくる……。


 「 ヒョーゴ 」


  呼ばれる。



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想いの行方 10




 ココに来てすぐのコドモのころ。
 意味なく座りこんでいた庭先で、ソレを聴いた。

  タッタッタ…

 軽快な足取りを思わせる足音が。
 だんだん大きく近くなってくる。



 あのオトが、連れてくる。
 楽に呼吸することのできる穏やかな空間を。


 目的のなかった行動に、理由ができた。



10


夜の乾いた空気に、ソレはよく響いた。
だから。
いつもよりも速いものに感じられた。いつもよりも大きく聴こえた。

 ギィ…

門の扉を開け、入ってくる影。


なんだ、やっぱり。 …と、浮かれたように得意げになる自分と。
どうして、………。 訳も解らず哀しくなるようなキモチの自分。
それでもやっぱり。 キュウゾウのココロは微笑う。




「なかに…。家に入らないのか」

姿なく聴かせる足音とは違う。
ちゃんとヒョーゴが鳴らしていると。それを確かめながら見るコトのできるオト。
しずかに進んでくる、落ち着いたモノに変わった靴の音。
すこしの掠れをみせ、呼吸を抑えて低く響かせた声の音。
姿は影を、まだ纏ったまま。
月明かりの粒がヒョーゴを、カタチ造っている。

「なにを。……ココで何をしている」

影が薄れ、色が現れる。


急に軽くなったココロとカラダが。
起き上がれと。呼べと。…命じた。




「 ヒョー…… 」

まっすぐに、相手に向けて発した名は。

「 ……ゴ…? 」

次の音に移る瞬間、ちいさく消え入るようなものへとー。
自身のカラダの奥へと落ちるかのように、還って…くる。


呼びきることができなかった。届くことなく跳ね返された。




ヒョーゴの表情に。



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想いの行方 9

9


ヒョーゴがジリジリと洋館を睨みつけている頃。
リビングの開き窓に続く、外のウッドデッキに、キュウゾウは居た。
庭に向けて置かれたデッキチェアに深く腰掛け、寝転び、夜空を見上げている。




立ち尽くして見送っていたモノが、道を隔てた建物のガレージ内に消えてからも、
キュウゾウは、しばらく門の外に居た。
距離を広げても聴こえていたエンジン音が止んだ後も、まだソコに居た。
ひょっとしたら戻ってくるのでは……。
そんな期待のようなものが、脚を留まらせていた。

街灯が、ボンヤリと色づく先。 暗闇との境界線。
見つめる場所からは、なにも。 カケラも現れることはなかった。


背後から。側方から。
見えない方向から、眼にすることのできないモノが、肌に触れてこようとする。
…… イヤな、感触 ……。

避けるようにして、キュウゾウは、庭へと向かった。
家の中には、入る気にはなれなかった。
…… 帰るコトが、できなかった ……。




闇に瞬く光を眺めていると、すこし落ち着いてきた。
なんてことはない。ただ、ヒョーゴが帰っただけのコトだ。
自分の家へ。自分、ひとりでー。

そんなコト、これまでにもあった。
まだ叔父のマンションに預けられていた時だって。
道場から帰ってきて、そのまま家の前で別れた時だって。
夕食だけを一緒に摂って、その後すぐにヒョーゴは寝に帰った時だってある。


毎回、あの台詞を残していった。

 『 寝ろよ 』


それと同じハズなのに。
どうして、今夜は……。 ちがうのだろう…。




頭上の光を映し、自身に言い聞かせて。
記憶の中の声に、相手を思い浮かべて。

そしてまた、モヤモヤする。 その、繰り返しー。


もしも、あのとき。いつものように言えてさえいれば。
こんなふうにはならなかった。
こんなキモチにもならなかった。
たったひとつのコトが出来なかっただけで。 この、有様だ。


 …… オレを置いて。 ヒョーゴ、ひとりで ……


言えてさえいれば、きっとヒョーゴは。
いつものようにー。


 …… いまからでも ……


解決策は解っているハズなのに、ココロが浮き上がらない。
行きたい場所は知っているハズなのに、カラダが動こうとはしない。

胸苦しさが邪魔をする。
胸の痞えが留まらせる。


 …… この息苦しさは、…… なんなんだ ……?








 音 …   気配 …


 「 ッ!!」


 ………… 足音 …




闇の空間を破る、よく知っている、オトがー。



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