強く儚い者 15


15 繋ぐ


「 彼にも、嫌な思いをさせてしまったかもしれない。けど、私は…。
  キュウゾウに、あんな氣を起こさせてしまったことが、
  そんな眼をさせてしまったことのほうがー。
  すごく、辛い…。私の弱さのせいで… 」

アカツキから漂う気が、濁りを見せ始めていた。
その色に、キュウゾウは覚えがある。

大人びた振る舞いを見せる幼いコドモが、夜の塔で。
重さの実感を持たせぬ軽き者が、細い首を露にさせタワーを見上げて。
そして、つい先刻。少年の前で。
酷く曖昧な、揺らぎの感情で少女が、呟きの肯定を発してー。
どれも、同じ色を纏っていた。




「 お前は弱い者ではない 」

他に言葉は無かった。
思考を形に変える術など、キュウゾウは知らない。

「 お前は俺に、劣ってなどいない。勝てはせずとも… 」

アカツキの紡いだものの中にあった、自身への劣等感。
キュウゾウにとっては、思いも寄らぬものだった。
今でも、それは認めてはいない。


投げ掛けられた言葉の中に、キュウゾウらしさを感じ、アカツキが微笑う。
その、ひとことが。
掬い上げる。繋ぐ。 現実の世界に、刻にー。


「 キュウゾウにそう云われると、複雑だけど…。やっぱり、…うれしい 」

弱い微笑みに、慰んだ色。
薄れる濁り。

「 でもね。弱さって、もっと別のところにもあるんだよ。誰の中にも。
  きっと、ヒョーゴ兄様の中にも。勿論、キュウゾウにもね。
  けど、兄様もキュウゾウも、ちゃんとそれに向き合うことができるから。
  だから。二人とも強いんだよね 」

「 …ヒョーゴに…… 」

意外な事を耳にする。
自身の事は云わずとも、ヒョーゴの名に。 キュウゾウは反応する。

「 ヒョーゴ兄様にだって、弱いところはあるよ。見せないだけで。
  私なんかじゃ、きっと、見せてももらえない。気付かせてももらえない。
  でも、キュウゾウになら…。
  キュウゾウが居るから、兄様も強く居られるんだよ。きっと 」

その言葉は、不思議と何故か、大きな驚きをもたらさず。
寧ろ、納得のいくものとして…。

「 私もね、おんなじ。ヒョーゴ兄様とキュウゾウが居てくれるから。
  弱いままじゃ、逃げてばかりじゃいられないって思った。いま、そう思う 」

キュウゾウの中で、結う。


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