知らない言葉 7




カンベエの部屋は、バイクを置いてきた店と自分たちの各家の、ちょうど中間となる。
今日の単車はヒョーゴのモノだ。わざわざ取りに戻るほどのコトでもない。

「今夜はこのまま帰るとするか。腹は減ってないか? なにか喰いに行くか?」

つい、訊いてしまう。構ってしまう。
求める者の、望むコトを。 求む自分の、望むままに。



「 ……ヒョーゴ 」

応えもなく、呼ばれた。

「 ん? 」

やわらかな眼差しで、受ける。 問う。

「 ………ヒョーゴ 」

なおも、呼んでくる。

「 どうした 」
「 ………… 」



もはや言葉では紡ぎようのない、想いが瞳を揺らしていた。

『 あのコはアレで、とてもデリケートなんですからね 』

シチロージの言葉が、脳裏で蠢く。
それに即答したのは、自分だった。

( ……解っているさ。誰よりも、オレだけが… )

解っていても。解っているから。 …… 制御できない。



 キュウゾウが、見ている。   ジッと。 あの、眼で…。



「 今日はずっと、そうして…。オレを見ていたな 」

やわらかさは変えず。

「 聴かせるコトも、……オレが、話すのも 」

微笑をのせて、ゆっくりと。

「 お前は、イヤか? 気になるか? 」

ヒョーゴはキュウゾウを、見つめかえす。



「 最初に出逢ったときから、そうだったよな。
  まだ慣れていない言葉で、オレに。オレの呼び掛けに、答えていたよな 」

黙ったままのキュウゾウを。

「 ………どうしてだ? 」

声で。言葉で。 ヒョーゴは誘う。


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