Q夢想
侍7の9main
強く儚い者 26
26 解
「 …ヒョーゴは、どう見る…。これを。…あいつの言った事を… 」
然程の動きも無い、薄い唇から発せられた音ひとつひとつが、酷く重いものだった。
紅の眼は、伏せられたまま陰となっていた。
どの言葉に関してとは言わなかったが、ヒョーゴには、何を指してのものなのか、
勿論、解った。
それが、ひとつのものではない事も。
どれが、此の上なく気に掛かっているのかも。
途切れ途切れに紡がれる、その間隙に。 キュウゾウの意想が籠められている。
複雑に絡んだものがー。
先刻の伝聞が新たに、ヒョーゴの脳裏を冒す。
キュウゾウの声に乗せられたアカツキの言葉すべてが、ヒョーゴの胸を衝くような、
切ないものとして聴こえた。
もし、その場に居たのが自分だとすれば、到底、聞かされる事は無かっただろう。
良い意味で深謀遠慮の無い、寡黙な男ならではが、引き出した言の葉の等々。
だとしたら…。 其処に立っていたのが自分であったとすれば。
アカツキは自分に、何を語ってくれただろうか。
自分は、何を。……云ってやれただろうか……。
「 ……『そうかも、しれない』…か…… 」
ザワッと。 前方から、気が揺れたのを感じた。
先程、自分自身でも口にした言葉を、再び他の者から聴く事に拠って、
その時の感情の余波が零れ出たかのように。
キュウゾウは、ヒョーゴの声に、反応した。
ヒョーゴの中でも、最も強く響いたアカツキの言だった。
それを直接、目の当たりにしたキュウゾウにとっては、尚更の事。
巡らう頭を切り替えて、言葉を待つ紅の眼を、ヒョーゴは正眼に据える。
「正直なところ、俺もよく解らん」
ヒョーゴなら、何か的確な形として表してくれる。 そう思っていたのだろう。
微かな落胆の色が、キュウゾウの無表情に浮かんだ。
「そんな顔をするな。俺とて解らぬ事はある。自分の事となると特にな。
その代わり、お前の事なら少しは解るぞ」
あやすように、優しくヒョーゴは微笑う。
「その少年に憤慨し、姫様を案じた。そして、それ以上にー」
微笑が消えた。
「 お前は姫様に、…腹が立ったのだろう? 」
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