強く儚い者 27


27 感知


何故…。 そう、キュウゾウは思った。

同じ事を、アカツキも言っていた。
その時は、余りにも多くの難事に捕われ、深く感受する事は無かった。
だが、今ヒョーゴから示され、改めてキュウゾウは、それを追究する。


少年の愚行。
それは、どうでもいい事だと、キュウゾウは思っていた。
だが、いま思うと…。 其処には微かな腹立ちがあったのかもしれない。
自分達が大事に想う者への非言に、庇護的な感情が起こったのかもしれない。
アカツキが、どう感じていようが。 どう、受け入れていようが。

そして…。 庇護というものとは少し違う、もっと何か別の。
大切に想うものへの、憤り。
誹りを向ける者よりも、向けられた者の在り方に。 アカツキにー。


その場に居ずにして、自身の心中を探り当てるヒョーゴには、今更、驚嘆は無い。
友の言説は絶対だ。 外す事も無い。 未だ嘗て、違えた事など無かった。
信頼に値する二人の言明に、キュウゾウは、己の胸中を知る。




何かを訴えようとする、紅の双瞳が、ヒョーゴに向かって閃火を見せた。

「 あいつは…、ヒョーゴの言った事を、嬉しそうに話した… 」


  『 でもね、ヒョーゴ兄様が教えてくださったの 』


「 そうやって微笑うあいつが、下らぬ者の愚行を赦す…… 」

それ以上、どう言葉で表せば良いのか。
微かに揺れた金の髪が、キュウゾウの困惑の様を示していた。


ヒョーゴが讃する。

「姫様らしいな」

その相槌に、空かさずー。

「 あいつは…ヒョーゴの掌中の珠であろう。
  傷つかぬ筈は無い。……ヒョーゴとて、同じだ… 」


思わず、ヒョーゴは目を丸くした。
確かに、自分はアカツキを寵愛している。 溺愛と云っても過言でない。
それは、充分過ぎる程、自分でも自覚している。
だからと言って、このように直言されると、何やら気恥ずかしいものを感じてしまう。

( 相変わらず、臆面の無い奴だ… )

更に。自分の名を借りた、キュウゾウ自身の心思でもあるだろうにと、
きまりの悪さを、心の中で転換する。
けれど…。 友の想いが、ヒョーゴは嬉しかった。
キュウゾウが、何を云わんとしているのかが、よく理解できたからこそ尚以てー。


「姫様は、自分は言葉に傷ついたりはせぬ、斬られた訳でもなし。
 そう、思っているのだろう。だが、相手はそうではないと知っている」

「 ……己の心は無きものとして… 」

「ああ、そうだな」

「 俺は、…それが、認容し難い 」


傷つく事よりも。 同調と、恐さと逃げ。
それらにどんな違いがあると言うのだ。

キュウゾウには、同じだった。
アカツキから漂う気は、濁りを見せていた。
そうまでして、他者に情けを掛ける。


 そうだ。 俺は…。
 それに、怒りを感じたー。



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