想いの行方 11

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「 ヒョー……ゴ…?


庭に灯るガーデンライトと、天上の月明かりが。 仄かにヒョーゴを照らしている。

怒っているようでもない。
呆れているようでもない。
なんだかよく解らない表情を、ヒョーゴはしていた。

なんだかオカシイと、そう感じていたモノとは……ちがう。
似ているけれど……。アレと同じようにも見えるけれど…。


 どうしたんだ?
 なにを驚いているんだ? 理解できないモノを前にしているみたいに。
 なにを怒っているんだ? やっぱり呆れているのだろうか。
 身体の調子が悪いのか? 抑えた呼吸が辛そうだ。
 動揺…しているのか…? いったい何に…。


  なにを、……… みているんだ?


キュウゾウの、ヒョーゴに感じたモノは。そのまま自身にも向けられたモノで。
驚きと、疑問。揺動、困惑。
………硬く隔てられた距離。
声を掛けようとする自分の声が届かないような。そんなヒョーゴの遠い背中以上のー。


でも…。
それでもやっぱり…。




立ち上がってみせたら、ヒョーゴは脚を止め。名を呼ぼうとしてからは何も話さず。
いっさいの動きを停止させたように、その場から近づこうとはしてこない。
けれど構わず、キュウゾウのカラダは動きだす。

ウッドデッキを、蹴って。
左脚を踏みだし、重い空気を払った。
右脚を忍ばせて、距離を縮めた。
最後の左脚で…。


 「 ヒョーゴ 」


  呼ぶ。










なにかを起こそうと、なにかを打つけようと、そんなキモチなど無かった。
なにも考えずに走ってきた。
ただ、ひとめ。見ることさえできればと。
なのに…。

姿を覆う影を認めただけで、瞳の色のない視線を感じただけで、
抑えようのない強い感情が、ヒョーゴの中で競り上がってきた。

家に入ろうとしないで、ココで何をしていたのかなんて。
たずねる必要などない。意味の無い台詞だ。
本当に言いたいコトは。真実、聞かせたいコトはー。

それでも留まる理性はあった。 まだ…。
キュウゾウが身を起こすまでは。
キュウゾウの、音を聴くまでは。

馴染みのあるデッキチェアーという、付属物から切り離されたキュウゾウの細い陰影。
望んで受け止めたばかりの、自分を迎えてくれた視線とはアンバランスな霞んだ呼声。

その姿は薄影が、曖昧なカタチに見せている。
その声は心音が、届かぬオトとして聴かせる。

なにもかもが確かではなかったが。
そこに在るキュウゾウのココロは、視えるように知ることができた。


  なにが、……… みえる ……? オレの…、オレの中に……。




沸騰して弾けそうなほどに、カラダは熱かった。
ソコだけ凍りついたように、脚は地を離れない。
そんな狂気寸前の男の許に、近づいてくる……。


 「 ヒョーゴ 」


  呼ばれる。



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